狭心症はどんな症状ですか?どこが痛みますか?
狭心症は心臓の筋肉(心筋)に十分な血液と酸素が供給されない状態で、主に冠動脈(心臓に血液を供給する動脈)の狭窄(狭くなること)によって引き起こされます。狭窄が進行すると、心筋が必要とする酸素量と実際に供給される酸素量のバランスが崩れます。この結果、心筋が一時的に酸素不足になり、胸部に痛みや不快感が生じます。
●胸痛(狭心症の痛み)
胸の中央または左側に胸痛、胸部の圧迫感または締め付け感を自覚します。痛みは表面的な痛みではなく、内部に感じることが多いです。
一瞬の鋭い痛みよりも、数分持続する痛み、圧迫感や締め付け感が一般的です。痛みが腕や肩(左側)、首や顎、背中などに放散することもあります。
身体的な労作や感情的なストレス、寒冷な気候、食事後などに発生することが多いです。
●息切れ
胸痛と合わせて息切れが起こるときは、狭心症の可能性があります。胸痛がなくても、労作後に呼吸困難を自覚したり、今までできていた運動でも息が切れることがある場合は狭心症の可能性があります。
●不規則な心拍(動悸)
労作後に心臓の鼓動がいつになく速くなったり、規則正しくなくなることがあります。この場合も狭心症からくる不整脈の可能性があります。
●吐き気、めまい、または失神
労作後に、吐き気やめまい、失神を引き起こすことがあります。特に重度の狭心症ではこれらの症状が現れることがあります。
狭心症の分類
狭心症には主に以下の2種類があります。
●安定型狭心症
特徴: ある一定の運動やストレスで症状が出現するが、安静にすることで通常は数分以内に症状が改善します。運動の距離が短くなったり、発作の頻度の増悪もなく、安静時に症状が出現したりしない、安定した狭心症になります。
原因: 冠動脈の狭窄はあるものの急速には悪化がないので、症状が一定で安定している状態です。
●不安定型狭心症
特徴: 今まで症状は安定していたが、急に運動の距離が短くなったり、発作の頻度が頻繁に起こったり、何もしていない安静時に症状が出現したりする、不安定な狭心症になります。心筋梗塞に非常に近い、より重篤な状態であることが多いです。
原因: 冠動脈の急激な狭窄や血栓が関与していることがあり、不安定な状態です。心筋梗塞の前兆となることもあります。
狭心症の診断には、採血、心電図(ECG)、心臓超音波(エコー)、運動負荷試験、冠動脈CT、冠動脈造影などが用いられます。適切な診断と治療が必要ですので、症状がある場合はご相談ください。
また、病態は同じですが、症状が全くない無症候性心筋虚血という方も1割程度いらっしゃると言われています。糖尿病の方、ご年配の方に多い病態です。治療の必要性は同じですので、気になる方はご相談ください。